2017年も残すところあとわずかとなりました。12月28日(木)よりしばらくの間WASEDA NEOはお休みさせていただきます。年明けは1月6日(土)に開室しますが、再び連休をはさみ本格的には1月9日(火)より再開いたします。
WASEDA NEOは社会人のための学びとイノベーションの場です。2017年、スタートしたばかりのWASEDA NEOには、社会を変えなくてはとの思いをお持ちの方が多くいらっしゃいました。このご縁を大切に、2018年はさらに成長したいと思います。
まずは、2018年1月開講の「みらいブレンディピティ」。WASEDA NEOのコンセプトであるブレンディピティ(Blending + Serendipity)を冠したプログラムが始まります。夜の時間帯に定期的に開催していく社会人のための実践的ゼミであり、WASEDA NEOらしいプログラムです。ぜひご参加ください。
1945年パーシー・スペンサーはマイクロ波を発生する装置の前でポケットのチョコレートが溶けているのに気づいて、後の電子レンジをつくるアイデアを得たそうです。新しいものを探求する気持ちがある人だからこそ、偶然にイノベーションのきっかけが得られたセレンディピティの一例です。イノベーションといっても、全てゼロから組み立てるのではなく、既に知っていることの組み合わせなどによって実現させます。そのことはオープニング記念講演で柳井正さんが話してくださりましたし、また10月のパイオニア・セミナーで水野学さんからも同様のお話しをいただきました。あるものを組み合わせて創造するレヴィ・ストロース「野生の思考」のブリコラージュという言葉もありますね。
フーリエ級数。どのような周期関数の曲線でも、ごく単純なサインとかコサインなどの三角関数の波形を無限に組み合わることで近似させることができます。無数の波が組み合わされて全く異なる形の波を構成するといったイメージは、人間のそれまでの営みを組み合わせることで生み出すイノベーションと似ていると感じています。
波と波が重なりあう。人々が出会う。思いと思いがぶつかりあう。アイデアとアイデアが合流する。技術と技術が組み合わさる。文化と文化が混ざり合う。意欲的な人々が集うコミュニティにてそのような様々なブレンディングがされることによって、セレンディピティが起こり、結果として大きな変革の波のうねりが生じる。そして、どのような大きなイノベーションもそうやって達成できるはず。2016年の夏、WASEDA NEOの構想を練り上げていた西橋(事業創造担当リーダー)と私は、そのようなイメージを背景にブレンディピティという言葉を生みました。
波のイメージといえば、葛飾北斎の富嶽三十六景神奈川沖波裏です。まさしく日本のシンボル富士山を覆うかのような波があり、そしてその波に飲み込まれそうな木の船にしがみつく人たちの様が、大きな社会変革の波が押し寄せる今日の状況をも現しているようです。
岡本太郎が芸術的な意味を見出した火焔型土器。波・渦が混ざりあうように躍動して上昇するかのような形状からは、太古の創造力のすごさとともに、土器を捏ね上げた熱気が時代を超えて伝わってきます。イノベーションは人類にとって全く新しいことではなく、それこそ太古の昔から今日、そして未来へと連綿とつづく人間の営みの一つなのでしょう。
考えてみると、ブレンディピティという言葉そのものもブレンディピティの成果です。そして、太田教授と少数の有志で立ち上げたWASEDA NEOは、いつのまにか多数の方々に参画いただき、ブレンディピティに発展し始めています。
WASEDA NEOは、おかげさまで良いコミュニティとして成長し始めました。大きな社会変革に向けて、学びがもつ本来の力によって乗り切れるよう、ブレンディピティのコンセプトのもと来年さらに展開いたします。
応援してくださった方々、コレド日本橋5階にご来場くださったみなさま、そして偶然にもWASEDA NEOの存在を知ってくださったあらゆる方々にスタッフ一同感謝をこめて、2017年を終えたいと思います。
みなさま良いお年を!2018年も宜しくお願い申し上げます!!
2017年12月
事務局を代表して
WASEDA NEO Administrative Director 鈴木 啓太