講座の概要

本プログラムは、権限によらないリーダーシップの獲得と、他者のリーダーシップ開発を行う“リーダーシップ開発者”の育成を目的とした履修証明プログラム(総計120時間)です。

変化の速い現代においては、権限や役職、カリスマ性によらずに周りを巻き込みながら仕事を推進していける人材が求められます。本プログラムでは、組織やチームにおいてすべてのメンバーが自分らしく貢献し、 互いに影響を及ぼし合って成果をあげるための能力(=リーダーシップ)とは何かを議論しながら、理論と実践の両面からアプローチしていきます。

本プログラムの受講者には、企業や教育現場等で直面する様々な課題に対してリーダーシップを発揮しながら、“課題解決の実践者”として活躍できる能力を習得し、他者のリーダーシップをも引き出し・開発していく人材となることが期待されます。

主催:早稲田大学社会人教育事業室
協力:株式会社イノベスト

Z世代と管理職にとっての
「権限によらないリーダーシップ」

2017年に本講座の前身である「21世紀のリーダーシップ」を開講した際、教職員側の予想としては、企業にあって権限をもたない若手がどのようにリーダーシップを発揮したらよいかを知りたい人が学びに来る、少なくともそのような受講生が大半であろうと予想していました。ところがその予想はいい意味で裏切られました。既に権限をもち部下をもつ人たちが「権限によらないリーダーシップ」を学びに来たのです。どうしてでしょうか? 職場で上司という立場上の権限のみに依拠して指示を出すと部下に嫌がられ、部下が意欲を失ってしまって逆に成果があがらないということに気づいた管理職の方が年々増えているのです。特にミレニアル世代やZ世代に対してはその傾向は顕著で、この傾向は当分続きそうであると言われています。他方で、ミレニアル世代やZ世代の方々で、上司に権限をふりかざしてほしくはないし、自分がもし部下を持つことになってもそういう上司にはなりたくないと考えるような人も本講座に来ています。その結果として、早稲田リーダーシップカレッジの教室には、「若い部下には成果を出してほしいけれどもできれば権限は使いたくない管理職」と、「成果には関心があるけれども上司には権限を使ってほしくない若手」が同じクラスメートとして机を並べ、リーダーシップについて学ぶことになっています。ちょうど企業における横断的プロジェクトチームのように、クラスメート同士がフラットな関係性のもとに置かれることになります。そしてこのプロジェクトチームの成果目標が「チーム全員が権限によらないリーダーシップを発揮できるようになること」なのです。この成果目標を達成するために、チームメート(クラスメート)同士が相互に支援し合い、学び合うのがこの「早稲田リーダーシップカレッジ」です。

担当講師:日向野幹也

講座の特徴

履修証明プログラム(Certificate Program)

本講座の修了が認められると、早稲田大学から履修証明書が発行されます。これは、学校教育法第105条の規定に基づくものであり、履歴書の学歴欄に公式に記載することができます。

アウトプットを重視したソーシャルな学習

少人数(最大15名)でのワークショップ形式にて授業を進行し、ソーシャルな学びを重視します。ソーシャルな学びとは、教員からだけでなく受講生同士が学び合うことを意味しています。オンラインとはいえ数人から十数人のクラス全体や、ブレイクアウトでもっと少人数でのディスカッションの時間が頻繁に設定されています。

受講を通じて得られる能力・スキル

プログラムを通じて、リーダーシップ最小 3 要素(目標共有・率先垂範・相互支援)を具体的な行動で表すための自己理解力、他者理解力の獲得や、フィードバック力、目標設定力、問題解決力、またこれらを活用し他者のリーダーシップを開発する能力等を培います。巷によくある「次世代リーダー育成のノウハウ」講座との最大の違いは、この講座では受講者自身が権限によらないリーダーシップを発揮できるように変わっていただくことが必須である点です。なぜそこが必須であるかというと、リーダー養成のノウハウを持ち帰って自社でそれを使おうとしても、社内の(あるいはクライアントの)受講生目線からすると「リーダーシップを発揮せよと教壇から説くあなた自身のリーダーシップはどうなの?」という問いに対して行動で答えられなければ受講生の信頼とエンゲージメントを得るのは難しく、研修効果も上がりにくいからです。

履修中から「権限によらないリーダーシップ」の実践者に

本プログラムの「最終課題」として、受講者自身が所属する組織(企業や学校など)で、実際に権限によらないリーダーシップに係る研修企画を行っていただきます。学ぶだけで終了ではなく、受講者自身がプログラムを通じて学んだことを自組織で”実践”していくことを目指しています。

職業実践力育成プログラム(BP)

本プログラムは、文部科学省より「職業実践力育成プログラム」(BP:Brush up Program for professional)に認定されています。(2019年4月より新規指定)
職業育成力育成プログラム(BP)認定制度について(文部科学省)
(様式1)「職業実践力育成プログラム」(BP)への申請について

教育訓練給付制度

本プログラムは、厚生労働省の教育訓練給付金制度(専門実践教育訓練)の指定講座となりました(2019年4月より新規指定)。 本講座を修了した場合、受講者本人が支払った教育訓練経費の最大70%に相当する額が給付されます。
詳しくはこちらをご参照ください。
専門実践教育訓練 明示書

講師陣

日向野幹也

日向野幹也Mikinari Higano

■ プロフィール

東京大学経済学部、同大学院博士課程修了、経済学博士号取得(東京大学)。1983年4月から2005年3月まで、東京都立大学経済学部に講師、助教授、教授として勤務。2005年4月立教大学に移籍し、 日本初の学部学生向け必修のリーダーシップ・プログラムBLPの立ち上げに準備段階から携わり、専攻を経済学からリーダーシップ開発にシフトした。2006年4月、立教大学経営学部BLP初代主査に就任。以後2017年3月まで11年間BLPの拡充に専心した。2011年文科省・日本学術振興会の「教育GP」の成果審査により全国トップ15に選定され、同年日本アクションラーニング協会の年間賞も受賞。2013年全学部学生向けの立教GLPを開始。2014年アクションラーニングを大学教育に広範に活用した業績が認められて世界アクションラーニング機構(WIAL)からアカデミック部門年間賞を、そして9年後2023年秋には同機構から年間優秀コーチ個人賞も受賞した。
2016年早稲田大学に移籍しリーダーシップ開発プログラム(LDP)を立ち上げた。2017年10月前年度の授業「他者のリーダーシップ開発」について、早稲田大学ティーチング・アウォードを受賞。同年早稲田大学職員研修も開始。2018年5月WASEDA NEO『21世紀のリーダーシップ開発』(現『早稲田リーダーシップカレッジ』)を稲垣講師とともにスタートし、岩城講師を加え、2020年コロナ禍を契機にオンライン中心に移行した。

■ 現職と資格

早稲田大学グローバルエデュケーションセンター教授、経済学博士、日本アクションラーニング協会シニア・アクションラーニング・コーチ、世界アクションラーニング機構(WIAL)認定グローバル・AL コーチ、International Leadership Association (ILA,本部:米国メリーランド州)理事(Board Member) 。

■ 主要著作

・『大学発のリーダーシップ開発』(編著) 、ミネルヴァ書房、2022年3月。
・『高校生からのリーダーシップ入門』、ちくまプリマー新書、2018年。
・『大学教育アントレプレナーシップ いかにリーダーシップ教育を導入したか』(共著),増補版、Bookway、2017年。
・「新しいリーダーシップ教育とディープ・アクティブラーニング」,松下佳代編著『ディープ・アクティブラーニング』第9章、勁草書房、2015年。

稲垣憲治

稲垣憲治Kenji Inagaki

■ プロフィール

広島大学卒業。1988年株式会社日立情報システムズにて営業職を経験。1990年ユニリーバ・ジャパン株式会社に入社。社内IT部門にてプロジェクトマネジャーとしてIT化を押し進める。その間、イギリス・シンガポールにて合計約3年半の海外赴任を経験。イギリスでは、イギリス人マネージャー・同僚と販売予測システム導入プロジェクトを推進。シンガポールではアジア地区IT統括センター立ち上げにマネージャーとして参画。シンガポール人、マレーシア人、インド人など多国籍の部下をまとめ、部門目標を任期中連続達成。2002年から人事人財開発マネージャーとして社員教育・採用・人事制度改革に従事。教育制度の改革、採用教育の刷新、新人事制度導入フェーズの設計・実践など、数々の改革を行い、ユニリーバ変革の一翼を担った。2005年株式会社ベンチャー・リンクに転職。子ども向け『7つの習慣』等、教育プログラムの開発に携わる。2006年ユニリーバに戻り、北東アジア担当人財開発マネージャー就任。グローバル教育チームの日本・韓国担当マネージャーとして、イギリス・南アフリカ・インドなどのマネージメントチームと連携をとりながら、担当2国の人財開発・教育プログラムのグローバル化を推進。2008年香港上海銀行にて人財開発マネージャーに就任。グローバルの施策に合わせつつ、日本のビジネス環境に特化した、有益なプログラムを行うべく、香港のリージョナルチームとコミュニケーションをとりつつ、社員教育の新しい体系作りに従事。グローバルプロジェクトである、社員満足度調査・後継者計画などを各国と協調しつつ精力的に展開する。2010年9月、経験を活かし、グローバル人財育成コンサルタント・コーチ・研修講師として独立。その後、多くの大学でリーダーシップ教育の立ち上げに関わっている。

■ 現職と資格

園田学園女子大学経営学部准教授、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター非常勤講師、共立女子大学ビジネス学部非常勤講師、桃山学院大学ビジネスデザイン学部非常勤講師、全米NLP協会公認NLPトレーナー、米国NLP&コーチング研究所公認NLPプロフェッショナルコーチ、デール・カーネギー・トレーニング公認トレーナー、日本アクションラーニング協会認定ALコーチ

■ 主要著作

・日向野幹也編著『大学発のリーダーシップ開発』第8章、ミネルヴァ書房、2022年3月刊行。

岩城奈津

岩城奈津Natsu Iwaki

■ プロフィール

同志社大学文学部卒。国内大手電機機器メーカー営業職勤務、日米経営科学研究所(JAIMS)企業派遣等を経て、1996-2004年渡英。英国国立ウェールズ大学カーディフ校ビジネススクール経営学修士(MBA)、博士課程単位取得後退学。専門は組織行動論。(株)クオリア設立に関わり、以来2018 年3月まで12年間ダイバーシティ&インクルージョンコンサルタントとして組織開発、リーダーシップ開発に従事。2018年4月より共立女子大学新学部設置準備室に着任し2020年度のビジネス学部開設に携わる、2022年4月よりビジネス学部准教授。2024年4月よりリーダーシップ教育センター長を兼務。

■ 現職と資格

共立女子大学ビジネス学部准教授、リーダーシップ教育センター長、早稲田大学リーダーシップ開発プログラム(LDP)非常勤講師(2017 年度-)、立教大学グローバルリーダーシッププログラム(立教GLP)GL111コースリーダー (2017-2021 年度)、国際ファシリテーターズ協会(IAF)日本支部代表(2014-2020)および認定プロフェッショナルファシリテータ-・CPF(Certified Professional Facilitator)、WIAL(国際アクションラーニング機構)認定グローバルALコーチ、日本アクションラーニング協会認定シニアALコーチ。

■ 主要著作

日向野幹也編著『大学発のリーダーシップ開発』第6章、ミネルヴァ書房、2022年3月刊行。
・「女子大におけるリーダーシップ開発」、『ビジネス学研究叢書』第2章、ウィズ・ケイ、2019年2月。
2014年3月10日付『The Japan Times』キャリアインタビュー記事。

カリキュラム・時間割

リーダーシップと自己理解

リーダーシップとは「成果をあげるために他者に影響を与え合うこと」として定義づけられる。それを身につけるためには、自己の理解と他者への理解が必要不可欠となるので、エニアグラムやメタモデルなどの手法を用いて、自己の理解とともに他者理解に関する知識と能力を身につける。授業の各段階に応じ、ストーリーテリング、ディスカッション、授業課題を行い、単に知識をインプットするにとどまらず、その知識を本プログラム外で使える能力として定着させることを目指す。自己・他者理解については経験学習サイクル(目標設定→実践→振り返りとフィードバック→改善計画の設定)を授業内に取り入れることで、自己のリーダーシップ開発を行う。授業時間のうち約 8 割は受講生が主体的に活動するワークが占め、受講生同士がフィードバックを行い、質問を交わすことで進行する。

<到達目標>
・権限によらないリーダーシップについての概念を理解する
・リーダーシップと自己理解の関係性を理解する
・エニアグラムを使用した自己の強み・弱みの理解と、他者との共通点、異なる点を知り受容する
・メタモデルに関する知識を習得し言葉に正確差を取り戻すことで、自己・他者をより正しく理解できるようになる

質問力

質問力は自己がリーダーシップを発揮するための手法だけでなく、他者にリーダーシップの気づきを与えるためにも必要不可欠な能力である。授業では、いくつかのワークやアクション・ラーニングの手法を用いて、質問力と切り離すことの出来ない傾聴力・メタ認知力・プロセス思考などを高める。

<到達目標>
・リーダーシップと質問の関係性を理解する
・質問には様々な種類があることを知り、どのようなときにどのような質問が適しているかを考えられるようになる
・質問会議の手法を学び、その要素を取り入れた会議やミーティングを科目外で実施できるようになる

コーチング

コーチングは、他者のリーダーシップ涵養を目指す者にとっては必要不可欠な能力といえる。授業の各段階に応じ、講義・ワーク・実践・フィードバックと振り返りを行うことで、他者から気づきを導く手法をただ知るだけでなく、実際に科目外で自ら実践できるようになる。

<到達目標>
・コーチングを行うにあたっての大前提を理解する
・いくつかのコーチングの手法を学び、プログラム外で実践してみることのできるレベルになる。
・フィードバックとは何かを理解し、プログラム外で日常的に行うことができるようになる。

プレゼンテーションとファシリテーション

プレゼンテーション(ストーリーテリング)とファシリテーションはそれぞれ、自らの意図を相手に正しく伝え巻き込む能力であり、場を活性化させすばやく目標に達するための能力である。各段階に応じ、知識のインプット、実践、フィードバックと振り返りを行うことにより、より実践的な能力として身につけることを目指す。

<到達目標>
・プレゼンテーション(ストーリーテリング)の目的を理解し、自分が目指すプレゼンター像を明確にする
・ファシリテーションの目的を理解し、ファシリテーションが手段であることを知る
・ファシリテーションを効果的に行うための知識を学び、実践できるようになる

他者のリーダーシップ開発

社会の変容とそれに伴って必要とされるリーダーシップの概念についての理解を深め、リーダーシップを自組織(学校・企業など)においてどのように根付かせることができるのか、講師によるケース紹介や自分の研修企画提案に対する受講生ならびに講師からのフィードバックを通して学ぶ。

<到達目標>
・他者のリーダーシップ開発への理解を深める
・自組織を改善するためのリーダーシップ研修を設計できるようになる

授業はすべて土曜日・オンライン中心に行い、仕事をしながら無理なく学ぶことができます。

カリキュラム・時間割のダウンロード

募集概要

募集人員

最大15名

募集期間

2023年11月20日(月)より申込受付開始。2024年4月26日(金)まで。
※先着順受付。定員に達し次第、締め切ります。

申込方法

下記の「お申込ページ」よりお申込みください。
※お申込みの際、WASEDA NEOのメンバー登録が必要となります。
※請求書払い(法人様用)によるお申込みをご希望の場合、法人用請求書払いによるお申込みフォーム(お申込ページに記載)よりお申込ください。

出願要件

主に社会人の方を対象としていますが、大学入学資格を有する方であれば出願が可能です。
※特に、以下に該当するような受講者を想定しています。
・権限によらないリーダーシップを身につけて自分で発揮したい
・自分が所属する組織のリーダーシップ開発を行いたい
・将来本格的なリーダーシップ開発コンサルタントになりたい
・メインの仕事以外に、サブの仕事としてリーダーシップ開発を行ないたい(高校や大学のリーダーシップ科目の担当者、企業の人材開発担当者など)
・単発の企業研修で社員のリーダーシップが身につくのか疑問をもっている
・アクティブラーニング型授業での生徒・学生の経験を、生涯にわたって役に立つライフスキルに転換したいと考えている高校・大学教員 など

受講料

550,000円(税込)
※お申込み時に決済が必要となります。支払い方法は「一括払い」に限らせていただきます。
※法人でのお申込みについては、法人用請求書払いによるお申込みフォーム(お申込ページに記載)よりお申込ください。
※上述のとおり、本プログラムでは「教育訓練給付金(専門実践)」をご利用いただくことが可能です。本講座を修了した場合、受講者本人が支払った教育訓練経費の最大70%に相当する額が給付されます。
※教育訓練給付金をご利用予定の方は、受講開始日の 1 カ月前までに(2024年4月11日までに)、必要書類をハローワークに提出し、受給資格確認の手続きを行う必要がありますのでご注意ください。

実施期間

2024年5月11日(土)~9月30日(月)
※スケジュールの詳細はこちら

実施方法

対面+オンライン形式(Zoomミーティングを使用)での実施。
対面形式の回の実施場所は、早稲田大学日本橋キャンパス(コレド日本橋5F)

履修証明書の交付

本プログラムを修了された方には、学校教育法に基づく履修証明制度により、「履修証明書」を授与いたします。本証明書は、学校教育法に基づく育成プログラムとして位置付けられており、修了者はご自身の履歴書の学歴欄などに履修実績を記載することができます。
参考:大学等の履修証明制度について(文部科学省ウェブサイト)
※履修証明書の交付は、受講期間中の出席状況、課題提出状況などを考慮し、総合的に判断します。欠席回数が本学所定の回数(全講座の3分の1)を超えた場合には、履修証明書の交付はできません。

修了生の声

お申込ページ

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