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最先端デザイン手法を用い、未だない事業創造の方法論を身に付ける ~課題創出型ビジネス・デザイン実践プログラム 第1期修了生インタビュー

インタビュー 2018/6/19

 

イノベーションを起こすためのデザイン手法「Speculative Design(スペキュラティブデザイン)」を用いた、課題創出型ビジネス・デザイン実践プログラム『みらいブレンディピティ』。本講座は、ハーバードデザインスクールやMITメディアラボ等で主流になりつつある、最先端のデザイン手法の概念を用い、2カ月にわたり事業創造の実践を行います。参加者たちは、企業の経営者から提供された実在するリアルなテーマに対する事業プランを経営者の視点で考案し、仮説に基づく実践と、その検証までを行うことで、イノベーティブな事業を自ら創出できるようになることを目指します。7月からの第二期開催を目前に、第1期の参加者たちが何を学び、その後の参加者自身のビジネスにどう活かしているのかという観点で、WASEDA NEOプログラム・プロデューサーの高橋龍征が第一期の受講者である富永亜矢さん、鈴木貴央さん、三浦里江さんと振り返りました。(※写真左から順に)

 

新しい事業のヒントを求めて講座に参加

高橋:

まず、皆さんがこの講座を受講しようと思ったきっかけを教えてください。

 

鈴木さん:

私は家業で西陣織と袈裟の製造をしています。家業を継ぐことは意識しながらも、大学卒業後は、銀行に3年弱勤務しました。その後、ベンチャー企業への転職なども考えたのですが、そのタイミングであらためて家業の話を聞きました。すると、西陣織をグローバル展開しようとしていることが分かりました。実際に西陣織を手にとってみたら、とてもきれいですっかり惚れ込んでしまい、家業を支える事を決意しました。入社後は、同社の新規事業と海外事業を担当しています。

 

西陣織の新規事業を作りたいと思っていたのですが、いざ取り組んでみると自分に新規事業開発のノウハウがないことがわかり、まずは勉強が必要だと痛感したことが、本プログラムを受講したきっかけです。そして何より、第一期のテーマが“日本酒のリデザイン”という、日本の伝統的産業がテーマであったこともあり、この講座に参加しました。伝統ある西陣織をこれまでとは形を変えて世の中に提案していきたい、そう考える自分のテーマに近いものがあると感じましたし、何か家業につながるヒントや情報を得られるのではないかと考えました。また、第一期という点も魅力でした。自分自身前例のないものに参加するのが好きですし、同じような思考回路の、ある程度濃い人が集まるのではないかと期待して参加しました(笑)

 

三浦さん:

私は大学を卒業後、投資銀行に長く在籍し、企業のM&Aや資金調達に携わる業務を行ってきましたが、仲介役ではなく、より事業を動かせる立場で、主体的に社会に影響を与える仕事がしたいと考えるようになりました。そんなモヤモヤした気持ちのまま、出産を経て、子育てをしながら大企業で働くことの大変さをひしひしと味わい、「こんなにストレスを感じるのならば、いっそ自分で事業を起こしたい!」と思うようになりました。

 

ただ、起業するにしても知識がなかったので、まずは早稲田大学ビジネススクールに通いました。そこで開催されていたビジネスプランコンテストで優勝し、アイデアが評価されたことが自信になりました。また、卒業後に参加したソーシャルビジネスコンテストでも優勝し、賞金を元手に起業することができました。ただ、事業のアイデアはあるものの、それを革新的で明確な事業にしていくためにはどうすればいいのかと悩んでいたときにこの講座の存在を知り、「今の私にピッタリだ!」と思いました。

 

そう思った理由は2つあります。ひとつは、アイデアを具現化するために必要な、人材との出会いがあるのではないかと思ったこと。もうひとつは、アイデアを出すだけでなく、アイデアを事業化するための仮説検証まで学べる内容が魅力的だったことです。これらの理由から受講を決意しました。

 

富永さん:

私のこれまでのキャリアはお二人とは違っていて、新卒で食品メーカーに入社し、そのまま16年間勤めています。もともと財務を担当していましたが、2年前にグループ事業の持続的成長を考える経営部署へ異動になりました。ただ、私が所属する食品メーカーは既存の国内需要への依存度も高く、新しい事業を考えることが難しい環境でした。そこで、何かヒントを得たいと思ったのが本プログラム受講のきっかけです。受講料は、ビジネスに活かせる学びを得るということで会社が負担しました。

 

一方で、受講に至った個人的な理由もあります。現在、“人生100年時代”と言われています。ひとつの企業に長く所属していると、たとえば副業解禁と言われても、何をしたらいいか分からないのが正直なところです。何か事業をするにしても人脈もありません。「この先、このままの状態でいいのかな」と思い、ボランティア活動なども考えたのですが、そのときにふと、「私は社会のどんな課題を解決したいのだろう?」との想いに至りました。それを考えるきっかけをつかみたいと思ったことも、受講を決めた理由のひとつです。

 

受講をきっかけに“事業を考える視点”が変わった

高橋:

この講座で学んだことで、今のビジネスに活きている学びは何ですか?

 

三浦:

受講前は「こういうサービスをやりたい」というサービス自体にすごくこだわっていたな、と思います。受講後は、サービスとはそのサービスを通じて実現できる社会を作るためのひとつの手段でしかないと思えるようになり、事業を創造するための視点を高めることができたと感じています。

 

私が成し遂げたいことは、出産後も女性が臆することなく、自分のやりたいことにチャレンジできる世の中にすることです。そのきっかけとして、現在、“母子分離”が無理なくスムーズにできるようなサービスを考えているところです。

 

富永:

実は、私はこの4月から人事部に異動になりました。事業創出を考える経験をしてみて、結局それを動かすのは人だ、と実感したのです。どれだけその事業に熱い想いを持って仕事に取り組めるかが大事だと考え、自分から人事部への異動を希望し、認められました。4月に早速、新人社員研修を担当して、この講座で習ったスペキュラティブデザインのチャートも活用させていただきました。そこで、40年後の退職を迎える時期に、世の中や自分はどうなっているのかを新入社員たちに考えてもらうワークショップを開きました。

 

三浦:

学びがダイレクトに活きていて、すばらしいですね!

 

富永:

スペキュラティブデザインを学んだことで、目の前のことをどう解決していくか、という考え方から、まずは視点を遠い未来に飛ばす事、そして遠すぎてもダメなので少し時間を戻して現状と未来とをすり合わせる、といった考え方ができるようになったと思います。

 

三浦:

私は、スペキュラティブデザインの考え方が好きです。目先のことだけではなく、きちんと自分の中の“べき論”を持つことができ、それをビジネスに反映させられるようになりました。また、受講をきっかけに、もっとスペキュラティブデザインを深堀りして身に付けたい、という気持ちも芽生えました。

 

鈴木:

私も実際に事業に携わったときに、新たな発想の起点を持てるようになったと思います。そして、そのスペキュラティブデザインの話を共有できる仲間を得られたことも嬉しいですね。

 

ゴールに向かってチームをひとつにする難しさ

高橋:

このプログラムでは、プロジェクトマネジメントとそこでのリーダーシップを身をもって学んでいただくために、敢えて事務局がアレンジしたチームでプロジェクトを遂行していただきました。鈴木さんと三浦さんは同じチームでしたが、動機もスキルも熱量も違う人たちが同じ方向を向いていくことの難しさと、そこから得た学びについて、教えて下さい。

 

鈴木:

最初にチームの中で譲れないラインを決める。さらに、どこを目指すのかという意識のすり合わせをしておいた方がいいです。そうしないと、誰かがリーダーシップを発揮したときについてこない人が出てきたり、リーダーもそこに引きずられてしまったりして、結果的によくない形で終わってしまうと思います。

 

三浦:

もちろん、大変なこともありました(笑) それぞれ違うモチベーションで集まっているので、同じゴールを見るためには、すり合わせが大事だなと思いました。事業は、一人で考えていても大成せず、人を巻き込まないといけない。どういう言葉を発したら、どういう動機づけがあったら人は動くのか、ということを考えることができたのも、とてもいい勉強になりました。アドバイスは鈴木さんと同じで、最初にみんなで自分たちのことを腹を割って話してお互いを知ること、レポートの提出期限は絶対に守るなど、基本的なルールをすり合わせておくことは大事だと思います。

 

 

富永:

私の場合は、忖度なくガンガン議論できるメンバーが集まっていたので、チームに恵まれていたと思います。でも悩ましかったのが、未来の課題ではなく、目の前の課題に対してどういう手法を取るかというマーケティング的な発想に凝り固まりがちだったことです。

 

高橋:

目の前の手段の話は楽しいですからね。

 

富永:

メンバーとは、最終提案前日の深夜までチャットで議論していたほどで、内容が直前まで固まらない大変さもありました。

 

 

「これから社会を変えていきたい」と思う方におすすめ

高橋:

最後に、この講座はどんな方に役立つと思いますか?また、これから受講する方がたに対してメッセージをお願いいたします。

 

鈴木:

自分で何かを生み出したい人です。特に、今までにはないものを生み出したい人に受講をおすすめします。そして、受講期間中は完全にこの講座にコミットした方がいいと思います。プログラム実施の3カ月間は授業のノウハウを自分の中にすべて落とし込む、という気概で取り組んだ方が確実に身になります。

 

三浦:

これから社会を変えていきたい方や、主体的に自分で何かを行っていきたいという方にはかなりフィットすると思いますので、学んだノウハウを活かして、どんどんと社会を変えていってほしいと考えます。

 

逆に、ちょっとした豆知識を学べたらいいとか、誰かの手伝いをするだけでいい、というような傍観者的な考えで参加する方には、大変難しい内容だと思います。

 

富永:

自分が企業に属していることもありますが、私は企業に勤務する多くのビジネスパーソンにも受けていただきたいと思っています。企業は歴史が長ければ長いほどルールができあがっていて、それをどう回していくかということには長けています。でも、それを反対側から見るような視点を持つことは難しい。自分もそうでしたが、自分の知らない「ものの見方」があるということや、社会は変わってきているということに気がつくためにも、ぜひ受講してほしいと思います。

 

講師の各務(かがみ)太郎さんが、講座の中で、「常に自分の琴線にふれるものを感じ取っていってください」というメッセージをくださったのが、とても印象に残っています。ぼんやり過ごしていると世の中はどんどん変わっていき、それに気がつくことができない。感度を上げるという意識づけを持って参加すると、多くの気づきを得られるのではないかと思います。

 

高橋:

第一期では、チームを超えて講座の後にビジネスでつながったケースもありましたよね。決して楽な講座ではありませんが、だからこそ多くの学びを得られると確信しています。皆さんのように前向きな姿勢で参加して、自らを変えていただく機会にできればと思っています。

 

 

◆6/26(火) 高津社長 特別講演プログラム「老舗企業とイノベーション」

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◆第二期 課題創出型ビジネス・デザイン『みらいブレンディピティ)

テーマ提供企業:株式会社にんべん

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