早稲田マーケティングカレッジ|講座レポートシリーズ
2026年秋期の講義やPBLの様子を、各回の学びとともに紹介します。
顧客は本当に自分のニーズを言葉で説明できるのでしょうか。そして企業は、その言葉の奥にある本質的な課題まで理解できているのでしょうか。
2026年10月3日(土)、早稲田マーケティングカレッジ2026年秋期の初回講義として、守口剛講師(早稲田大学商学学術院教授・教務部参与〔OCE担当〕)による「次世代の消費者インサイト獲得手法と実践」を実施しました。
本講義のテーマは、マーケティング戦略の土台となる「深い顧客理解」です。顧客は必ずしも自らの行動や欲求を正確に説明できるわけではなく、企業には顧客自身も気づいていない潜在的なニーズや行動の背景を捉える視点が求められます。講義では、こうした考え方を支える概念として「消費者インサイト」を取り上げ、その重要性を多様な事例とともに紹介しました。
特徴的だったのは、事例を通じて受講生自身が考えながら理解を深めていく講義の進め方です。企業事例や消費者行動のケースを題材に、目の前に見えている課題だけでなく、その背後にどのような理由があるのかを考える視点が示されました。講義の中では守口講師から受講生へ適宜問いかけも行われ、事例を単なる成功事例として捉えるのではなく、「なぜその施策や戦略につながったのか」を考えながら学ぶ構成となっていました。
そうした事例の検討を通じて紹介されたのが、「具体→抽象→具体」の思考法です。
表面的な課題から直接解決策を考えるのではなく、一度抽象化して課題の本質を捉えたうえで、あらためて具体的な施策へ落とし込む考え方であり、インサイトを発見するための重要なアプローチとして位置付けられました。消費者の行動やデータの中にある違和感や特徴的な現象に着目し、「なぜそうなっているのか」を考えることの重要性も示されました。

受講生からは、講義で紹介された考え方を自身の業務や日常の課題解決に結び付けて捉える声が寄せられました。
「具体的な課題からすぐに施策を考えるのではなく、抽象化した本質的な課題を洞察してから施策の検討をすべきだということがとてもよくわかりました。コンビニの例がとても心に残りました。」
「仕事でもお客様から要望を聞く機会がありますが、要望そのものだけではなく、『なぜそう考えているのか』『本当に解決したいことは何なのか』を考えるようにしたいと思いました。」
「今後は対話や課題解決の場面において、表面的な言葉に飛びつかず、この抽象化思考のプロセスを用いて『相手や課題の本質はどこにあるのか』を一度整理してから思考・行動するよう意識したいと思います。」
企業事例や消費者行動のケースを起点に考えながら学ぶ講義を通して、インサイトを見いだすための視点と、その背景にある思考プロセスについて考える機会となりました。
早稲田大学 商学学術院 教授
早稲田大学政治経済学部卒業、東京工業大学大学院博士課程理工学研究科経営工学専攻修了、博士(工学)。立教大学などを経て、2005年より現職。早稲田大学商学研究科長、日本消費者行動学会会長、日本商業学会副会長などを歴任。主な著書に、『プロモーション効果分析』朝倉書店、『プロフェッショナル・マーケター:マーケティング最先鋭の言葉』ダイヤモンド社(共編著)、『消費者行動の実証研究』中央経済社(共編著)など。専門はマーケティング、消費者行動論。
早稲田大学の履修証明プログラム「早稲田マーケティングカレッジ-次世代のマーケティングを学ぶ総合講座-」では、マーケティングの基礎理論から先端的なテーマまで、講義・ケーススタディ・ワークショップ・PBL(プロジェクト学習)を通じて体系的に学びます。
学術と実務の両面からマーケティングを捉え直し、次世代のマーケターとしての総合力を養うプログラムです。
講座の詳細については、以下の公式ページをご覧ください。
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