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【みらいブレンディピティ】第一回テーマの想いについて、ミライシュハン株式会社 山本CEOが語る

みらいブレンディピティ 2017/12/11

「みらいブレンディピティ」では、最先端のSpeculative Designの考え方にもとづいて、事業プロデュース実践プログラムを実行していきます。具体的には、5人程度のプロジェクトチームを組み、実在の企業から提示される事業テーマに対して自分達で課題を設定して、その解決方法を、テーマ提供企業の経営者へ提案し、テストマーケティングまで実行します。2018年1月からの第1期では、ミライシュハン株式会社(代表取締役CEO 山本祐也)から「やちや酒造の特別純米酒(現名称『前田利家公』)のリブランディング」というテーマをいただきました。開講に当り、山本CEOより、日本酒市場の将来性や、当プログラムへの期待について、お話頂きました。

 

 

Speculative Designとは

たとえば、頭の中で100円玉を描いてみようとするとき、多くの方は、コインを真上から見た円形をイメージします。しかし、なかには真横から見た細い長方形をイメージする人もいます。このような発想をできるのが、自動販売機のコイン投入口をデザインできる人なのです。

 

当プログラムでは「デザイン」を「課題解決のツール」と捉えています。そして、ハーバードやMITで応用されている世界最先端の“課題創出型”デザイン手法を、課題発見やプロトタイピングの実践を通じて習得していきます。

 

世界最高峰の芸術学校の一つである英国Royal College of Art(RCA)のAnthony DunneとFiona Rabyによる共著『Speculative Everything』によれば「デザインとは、将来あり得るかもしれない世界のあり方を予測するツール」と定義しています。Speculative Designの考え方では、世界がこのまま進んでいけば起こり得ないような抜本的に新しいシナリオを設定することで課題を顕在化させ、Preferableな(好ましい)未来の実現に向けた議論を巻き起こす「問題提起のツール」としてデザインを捉えています。

 

 

課題解決ではなく、課題をつくる。ニーズに応えるのではなく、ニーズをつくる。

1月から開始する当プログラムでは、プランに入る前に、解くべき課題は何かを定義することに重点を置いたコーチングをします。この部分こそが、日本でほとんど語られない「課題創出型事業開発」の実践であり、今後のビジネスパーソンに必要とされる能力と考えられるからです。

 

 

テーマについて

今回のテーマである、特別純米酒(現名称「前田利家公」)は、石川県で最も古い蔵元であるやちや酒造の主力商品の1つであり、製品としても長い歴史を持っています。味の観点からしても、単体でもおいしく飲めますし、どのような料理とも合うすっきりした味わいのため、食中酒としても楽しめます。地元では大変愛されている銘柄ですが、東京や全国規模での露出は低めです。この状況は「全国ではまだそこまで流通していない→ほとんどの人がまだ固定されたプロダクトイメージを持っていない→改めてブランディングし、全国展開させていく価値がある」と捉えることができます。

 

現在は、やちや酒造が「前田利家公」という名前で販売しているものと同様のスペックですが、それは主に流通している石川県では「加賀百万石の殿様」である前田利家に馴染みがあるからです。全国流通を狙うために、同スペックのお酒に新たな名前を与えるという提案も、蓋然性があれば検討します。あるいは、やちや酒造が400年以上の歴史の中で前田利家から贔屓にされてきた酒蔵であることを商品特徴のひとつとするために、敢えて現名称のまま流通させる方法もあるかもしれません。このような部分についても、参加者には綿密にプランを練っていただきます。

 

 

ミライシュハン株式会社について

ミライシュハン株式会社は、日本の酒産業に対するブランディング及びリノベーションをコンセプトに日本酒のセレクトショップ「未来日本酒店」(東京・代官山)や「日本酒をカッコ良く」するための体験型イベント「KURA FES」、ライフスタイル型SAKEアプリの運営などを行っています。日本の酒産業に対するブランディング及びリノベーションをした事例の一つが、日本酒のヴィンテージ商品の企画・販売です。

 

ワインやウイスキーではヴィンテージ商品は珍重されていますが、ワインと同じ醸造酒である日本酒には、ヴィンテージマーケットがほとんどありませんでした。そのため、シーズン中に新酒を売り尽くすというのが大前提。新酒のシーズンを過ぎると売りづらくなってしまうため、価格を落として売りきるか、あるいは生産の段階で生産量を絞るかとするのが一般的だったのです。

 

ミライシュハン株式会社はこの状況から、「日本酒はシーズンを過ぎると売れない」という日本酒業界の常識を「課題」と捉え、「同じ醸造酒のワインはヴィンテージものがあるのだから、日本酒にもヴィンテージという付加価値を与えられるはず」と「見立てて」、実際の商品開発を実践していったのです。これが成功すれば、従来はなかった日本酒のヴィンテージマーケットを生み出すことで、消費者も選択肢が増え、生産者も在庫リスクを減らすことができます。消費者の選択肢が増えるということは、つまり「ニーズを創出する」ということ。これこそが、当プラグラムが目的としている「課題創出型事業開発」です。

 

ミライシュハン株式会社はこれを実行すべく、まずは、蔵で眠ってしまっているシーズンを過ぎてしまった日本酒を探すことから始めました。そこで出会ったのが、徳島県・三芳菊酒造の米と日本酒で仕込んだ貴醸酒を用いた熟成酒でした。味わいや特徴をもとにこの酒を「1984, the bitter sweet symphony」と名付け、五線譜をイメージしたラベルをデザインして商品化。クラウドファンディングにより、2016年にこの商品を誕生させ、販売を開始したのです。

 

 

日本酒市場における事業機会

ミライシュハン株式会社の山本CEOは、日本酒市場の将来性について次のように述べます。「日本酒は、市場としては縮小していると言われがちですが、実際は将来性があると私は見ています。なぜならば、国内市場において純米吟醸酒など特定名称酒の販売金額は、近年、順調に伸び続けているうえ、海外市場の統計を見てみても、この5〜6年で売上金額は二倍になっているからです。さらに、民間のレポートによると、日本酒に興味があり、今後飲む機会を増やしていきたいと考える女性が増えています。つまり、市場が拡大していく潜在的ニーズがあるということなのです」(山本CEO)

※参照:「酒のしおり(平成29年3月)」(国税庁課税部酒税課)

http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/2017/index.htm

 

 

本プログラムの参加者には、「新しい見立てをすること」が求められます。約2ヶ月間と期間が限られているため、山本CEOより提供していただくテーマでプランを立て、プロトタイプを作っていきます。実際に自分でビジネスを初めていく際には、自分で解決すべき課題を見つけ、蔵元の発掘、プロダクトの選定から始めていくことが不可欠です。また、これは、日本酒に限らず、農産物や伝統工芸品など、あらゆる産業で展開させていくことができます。

 

山本CEOとプログラムコーディネーター。未来日本酒店にて

 

 

プログラム参加をご検討中の方へ:今後のイベント

12月14日(木)の夜には、代官山の未来日本酒店で、山本CEOも登壇する「みらいブレンディピティ」特別説明会を開催いたします。今回の事業テーマとして取り扱う現「前田利家公」(やちや酒造)の試飲もできますので、ご興味ある方はぜひご参加ください。

http://shuhandipity.peatix.com

 

その他説明会や当プログラムのコーディネーターの各務氏が登壇するイベント等の一覧は下記をご参照ください。

一覧を見る

 

 

◆スペキュラティブ・デザインの方法論を用いた「課題創出型ビジネスデザイン」プログラム(みらいブレンディピティ)概要

course/course-detail/1132/

 

◆【1/6(土)限定開催】スペキュラティブ・デザイン講義(実践編)

http://speculadipity.peatix.com