人と組織を強くしたいあなたへ―「コーチのコーチ」中竹竜二さんに学ぶ・パイオニアセミナー開催レポート

イベント 2021/9/10

公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 理事 / 株式会社チームボックス 代表取締役

中竹 竜二 氏

1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年監督退任後、日本ラグビーフットボール協会 において「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを兼務。2019年理事に就任。またラグビー界の枠を超え、2014年には、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックスを設立。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、一般社団法人スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。ほかに、一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟副理事長 など。 著書に『新版リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』( CCCメディアハウス)、『ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』(エッセンシャル出版社)など多数。

                                            

 

中竹さんは、早稲田大学ラグビー蹴球部で学生時代は主将、その後留学と社会人経験を経て、同部監督を務め、日本ラグビーフットボール協会では「コーチのコーチ」として、いずれも強いチームをつくり上げてきました。それらの知見をラグビー以外のスポーツでもいかし、また、ビジネスの世界でもコンサルティング会社を経営し、指導者育成や組織マネジメントに取り組んでいます。

 

本レポートでは、中竹さんのこれまでの“物語”から、自分、人、チーム組織が強くなる方法を学ばせていただいた、2021年4月22日のパイオニアセミナー「人と組織を強くしたいあなたに届ける、私の物語」の一部分を抜粋してご紹介します。

 

言語化がつくる未来

今日みなさんにお願いしたいチャレンジは、「言語化」です。最近は本もいくつか出ていますし、私も言語化に関して色々なトレーニングの仕組みをつくってきましたが、やはりこれからの時代に言語化は非常に大事になってきます。

 

今日は理由をあまり深く言いませんが、やはり人間って考える思考の数と、言葉にしたり書いたりする時間の割合が圧倒的に違うわけです。1日の中で考える思考の数は万単位なんですよ。それと同じくらい書けるかといわれたら書けない。

 

つまり、我々は思考を選んでいるんです。書く、喋るは思考をdecisionしているわけです。ということは、人前で書く、喋る人達はdecision「決断力」が格段に伸びます。

 

なんとなく頭の中で考えていて「自分もそう思っていた」というのは当たり前です。だって何万も考えているんですから。考えをアウトプット、特に言語化が重要になります。

 

言語化して、自分の言葉で考えて自分の言葉で伝えていくと、人間は自分ごと化されて責任感が増します。Accountabilityの本質ですよね。Accountabilityって日本語だと説明責任という『事後』の意味ですけれど、本質的な意味は『先に言う』責任です。「私はこういう責任があり、こうやります。だからこの行動をとり、それに対してこうだった」と。これが Accountabilityの本質です。

 

よく目標達成の中で「『あなたの言葉』が『あなたの未来』を創ります」といわれます。(今日のような)こういったセミナーをして、今日の期待に「特になし」と書く人がいますよね。斜に構えた感じで、お手並み拝見とでもいうような。

 

お手並み拝見していると、学びが自分のところに入ってきません。悪いとかではなく、少し勿体ないですよね。「お手並み拝見するぞ!」とでも書けば自分が見えるので良いのですが、そういう人は書きませんから。

 

是非、みなさんの言葉一つ一つが皆さんの未来をつくっていると思ってください。そうなると意外に戸惑うのは、正しい答えを書かなきゃ、言わなきゃいけないということですが、それに対してはそもそも自分なりの解を見つけたり自分の言葉で考えて発言したりすることが大事になります。

 

ストーリーにつなげるということ

今日はタイトルにもある通り「人と組織を強くする」とありますが、みなさんには「物語る」というのをしていただきます。まずそれぞれ皆さんがどういう人かという自己紹介をグループ内でしてください。

 

―教室内、オンラインともグループに分かれて自己紹介を行う

 

 

皆さん、今の自分の自己紹介に点数をつけるとしたら100点満点中何点になりますか。ふだんはつけないですよね。大事なのは、なんとなくやるのではなく、一個一個に意図を持ってやることです。

 

皆さんは色々なストーリーを持っていると思うんですが、私の期待は皆さんに「ストーリーを語る癖」をつけていただくことです。「今私はこんなことをしています」という現在だけを切り取った自己紹介よりも、結局人の頭に入っていくのはストーリーです。

 

皆さん、好きな言葉はありますか?是非皆さん、回答は点でパスするのではなく、なるべく線にしてみてくださいね。

 

私自身が好きな言葉は、「笑われて、笑われて、強くなる」で座右の銘です。これをみた時に「私のことを言い当てているな」と思いましたね。これは太宰治の言葉です。

 

早稲田大学に入学してラグビー部に入った時、懸垂が全くできず同級生に笑われました。同級生の同じポジションの人たちに「お前、懸垂もできないのによく早稲田にきたね」「やめろよ」と言われたんです。その後監督になった時も「そんなのも知らないんですか、まじすか、やめたらどうですか」と、笑われ続けたんですね。

 

そこで私が自分で作った言葉がこれです。

「笑われて、笑われて、笑って、笑って、強くなる」

笑われたら私も笑うぞ!一緒に笑って強くなろう、と。

 

よければ「中竹竜二」の座右の銘、皆さんも使ってみてください。皆さん、色々な側面があると思いますが、なるべく自分自身を認識する時も経験という点をつなげてストーリーとして切り取るのを癖づけていただければ、と思います。

 

 

 

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